ズン前首相の娘に忍び寄る反腐敗

グエン・フー・チョン書記長が主導する反腐敗運動が、とうとうグエン・タン・ズン前首相の身内にまで及ぼうとしている。3大携帯キャリアの一角を占める国営モビフォンによる有料テレビのオーディオ・ビジュアル・グローバル(AVG)買収について、中央官庁の一つである政府査察部が14日、不正な契約だったとして関係者を起訴相当としたのだ。
モビフォンは2016年初頭にAVGの株式の95%を8兆8898億ドン(420億円)で買収した。だが政府査察部によれば、AVGは赤字続きで買収額は適正価格の9倍に上った。政府査察部は同買収を認可した所管官庁のモビフォンや関連省庁に責任があると結論付けた。
そのM&Aに深くかかわっているのが、ズン氏の娘、グエン・タイン・フオン氏。フオン氏が経営するベトキャピタル証券は、当時のズン首相の下で作成されたモビフォン株式会社化計画のコンサルタントとなり、今回の買収劇にも深く関与していたと言われる。モビフォンのレ・ナム・チャー会長(後に更迭)とAVGを率いるファム・ニャット・ブー氏(ビングループのファム・ニャット・ブオン会長の実弟)に高値での売買を働きかけ、のちに多額の金が関係者にばらまかれたとささやかれている。刑事事件化されれば、政府幹部が芋づる式に逮捕されるだけでなく、フオン氏にも捜査がおよぶ可能性がある。
今のところ、ベトキャピタル証券の名前は少なくとも表のメディアには出てこない。だが政府査察部の報告書は「情報通信省は買収の合理性についてはっきりと判断することができなかったにも関わらず首相に許可を求めた」とされる。当時の首相は誰あろうズン氏。わずか2年前まで「最強」と言われた剛腕政治家が窮地に立たされている。