チャン国家主席に退任説、後任はニャン氏か

「チャン・ダイ・クアン国家主席は健康問題を理由に共産党中央委員会の次期総会で退任するだろう」。シンガポールにある東南アジア研究所(ISEAS)のベトナム専門家が先週発表したレポートにこう明記した。5月初めにも開催する次期第7中総でクアン国家主席が退任するとの説はこれまでにもネット上では拡散していたが、研究者が公に予測したことは注目だ。さらにレポートはクアン氏の後任としてホーチミン市のグエン・ティエン・ニャン党書記が昇格するとしている。
レポートの著者はベトナム外務省出身のISEASフェロー、レー・ホン・ヒエップ氏。国外からベトナム政治や外交について比較的自由な立場で英語の発信を繰り返している。どこまでの内部情報を持ち合わせてヒエップ氏が書いているのかは分からない。ただクアン国家主席の退任説がネットの噂の超えた域に達していることは見て取れる。詳細は省くが同じく健康問題を抱えるディン・テー・フイン政治局員の引退と5人の政治局員の追加をヒエップ氏は予測している。
レポートの内容を裏付けるようにクアン国家主席をめぐる動きはあわただしい。ここ数カ月でクアン主席の出身母体である公安で違法オンライン賭博への関与により現役・元幹部が次々と逮捕されており、主席の側近にも司直の手が伸びている。年明けに逮捕された諜報機関出身のダナンの実業家「ブー・ニョム」ことファン・バン・アイン・ブー氏とクアン主席は妻同士が親戚関係にあるとの情報もある。グエン・フー・チョン書記長が主導する反腐敗運動にクアン氏の権力基盤は切り崩されている。
そして再び健康問題が蒸し返されている。クアン氏は昨夏、数週間にわたり公の場に姿を見せず重病説が流れた。さらに今年4月に入ってからも再び動静が途絶えた。下旬に来越したアウン・サン・スー・チー国家顧問とも面会していない。これら情報を総合すれば、クアン氏の退任説には説得力がある。
後任として有力視されるニャン氏は昨年、ディン・ラ・タン氏の解職に伴いホーチミン市党書記に就いた。ドイツと米国に留学経験がある国際派の学者だが、政治的には中立派で派閥間の妥協の産物として要職ポストが転がり込んだと言われる。実際、この1年間も前任のタン氏と異なり、派手な言動は聞こえてこない。それでも最高指導者である党書記長の地位は、伝統的に国家主席・首相・国会議長のいずれかの経験者が就いてきた。ニャン氏が国家主席に就任すれば、2021年の次期党大会に向けた書記長レースは新たな展開を迎えることになる。