サイゴン一等地の不正払い下げ

ホーチミン市で土地の払い下げをめぐる不正が相次ぎ明るみに出ている。2区トゥーティエム新都市などに続き、今度はサイゴン大教会に近い超一等地の払い下げが入札を経ていなかったとして開発権が一旦回収されることになりそうだ。
ベトナム政府の監査機関である政府査察院は今月初め、サイゴン大教会に近い1区レズアン大通り8番地と12番地の計5000平米の土地を回収し、再度入札にかけることが妥当との監査結果を発表した。
同地はかつて、商工省傘下の4社が設立したラベニューが国から借り受けていたが、ラベニューは2010年に食品大手KIDO(キド)グループのキド投資に譲渡された。ホーチミン市は2011年6月、ラベニューが同地を複合開発することを認可し、期間50年の土地使用権を与えることを決めた。ラベニューは2016年6月に7000億ドン(35億円)の支払を終えてホーチミン市から土地使用権を取得した。
しかし政府査察院は、同地の開発認可を検討していた2009~2010年においてキド以外に2社が開発に意欲を示していたと発表。複数の企業が取得の意図を示していた以上、入札にかけるべきだったが市は入札をしなかったとして、「当時のホーチミン市人民委員長、とりわけグエン・タイン・タイ副委員長(2011~2015年在任)に直接的な責任がある」と認定した。
同地の現在の地価は1平米当たり4億ドンで、入札にかければ2兆ドン(100億円)以上での売却が見込まれるという。
問題の土地は実際には開発が着手されておらず駐車場として使われているが、民間企業が支払いを終えた土地の払い下げを白紙撤回するというのはかなりの大事だ。それでも「国の規定に故意に違反した」疑いから回収を断行するとすれば、不正追及に当局の強い意志があるとみてよい。
トゥーティエム新都市開発では、当初のマスタープラン対象外に住んでいた住民までもが強制退去させられていたとの疑惑が巻き起こり、市の党書記を務めたレー・タイン・ハイ氏周辺に厳しい目が向けられている。ラベニュー問題で責任ありとされたタイ氏は、ハイ氏が党書記時代に副委員長を務めていた。この問題が、どこまで広く波及するのか注目する必要がある。