ディンラタン被告が示唆したズン前首相の責任

「ペトロベトナム建設(PVC)の指名は、首相の決定によるものだった」。一連のPVC裁判で最も深い意味を持つ証言は、親会社ペトロベトナムのディン・ラ・タン元会長からやはり出た。いや見方によってはタン氏はこの発言をするために逮捕されたとも言える。
全てはPVCのチン・スアン・タイン元会長が2016年6月に所有するレクサスに公用車のナンバーを不法に付けていたという些細な違法行為から始まった。その後にPVCの乱脈経営や2015年に国有化されたオーシャンバンクの不正融資などへの捜査が進み、昨年5月にタン氏が共産党政治局員を解任された。昨夏にはドイツに逃亡中だったタイン氏が、ドイツの主張によればベトナム情報当局の拉致によりベトナムに連れ戻された。タン氏は12月に逮捕され、裁判が年明けに始まった。
そしてタン氏は9日、タイビン第2火力発電所のEPC契約をPVCに発注した経緯を問われ、グエン・タン・ズン前首相の責任を示唆した。2016年の引退以降、ズン派の有力者が次々と追い落とされ、最高指導者グエン・フー・チョン党書記長の最終的な狙いはズン氏本人と言われてきたが、法廷の場で前首相の責任が初めて言及された。
裁判前はタン氏は禁錮20年、タイン氏は死刑の可能性もあるとされたが検察の求刑は禁錮14~15年と終身刑にとどまった。タイン氏については、亡命の希望中に拉致され、強く抗議するドイツへの外交的配慮もあるのだろう。裁判は1月21日に結審する。だがこの疑獄の焦点は、ズン氏本人の追及がいよいよ始まるのかに既に移っている。