ディン・テー・フインの謎

「病気療養中」という理由で1年近くに政治の表舞台から姿を消しているディン・テー・フイン氏をめぐる謎が深まっている。共産党の要である書記局常務からは正式に外れたが、いまだに党最高指導部の政治局からは退任していないからだ。
「2年にわたり本会議に出席することになるが、国会議員としての資格があるのか?」。国会開幕を2日後に控えた5月19日、記者団からフイン氏の長期不在を問題視する質問が飛んだ。グエン・ハイン・フック国会事務局長は、「フイン氏は政治局員。国会としては政治局員のコメントを待ちたい」とかわした。
書記局常務は書記長、国家主席、首相、国会議長に次ぐ党序列5位の要職だ。さらにフイン氏は、北部(ナムディン省)出身かつグエン・フー・チョン書記長と同じ党理論畑。2016年の党大会後は次期書記長候補の最右翼と目された。
しかし2017年になると重病説が流れ、同年8月に療養を理由に休職した。この時点で書記長レースからは脱落したとされる。さらに今年5月に開催された第7回党中央委員会総会(7中総)で書記局常務を退任し、職務を代行していたチャン・クオック・ブオン氏が正式に後を継いだ。党中央検査委委員長としてチョン書記長の反腐敗運動を支えたブオン氏が、次期書記長候補に急浮上している。
ただ国会議員としての資格まで公然と問われているにも関わらず、フイン氏は議員にとどまっている。より重要なことは7中総前に政治局から退任すると見られていたが、同じく退任の情報があったチャン・ダイ・クアン国家主席とともに職を保持している。
チョン書記長がフイン氏をいまだ政治局にとどめる理由は何か。オブザーバーの間では、フイン氏に復権のチャンスを与えるためという見方、政治局員の後任候補であるグエン・スアン・タン党内政委員長やファン・ティン・チャック国立ホーチミン政治学院学長にさらに努力を積ませるためとの見方、はたまた政治局員に選ばれた以上は2021年までの任期を全うするべきだからという意見もある。
そもそもフイン氏は病気ではなく、チョン書記長の不興を買ったため失脚したという指摘も出ている。真相は闇の中だが、フイン「政治局員」が何を意味するのか。今後の政局を見る上で見過ごすべきではないだろう。