中央委総会を生き残ったクアン国家主席

退任説が流れていたチャン・ダイ・クアン国家主席が、政治的節目となる第7回中央委員会総会(7中総)を切り抜けた。直前まで数週間にわたり公の場に姿をみせず、重病との情報が駆け巡っていただけにウオッチャーの間ではサプライズが広がった。
クアン国家主席は昨年8月にも雲隠れしたことがあり、日本での療養説が流れた。そして4月に来越したアウン・サン・スー・チー国家顧問とも会談せず、再び健康不安を指摘する情報が飛び交っていた。
しかし5月7~12日に開催された7中総では、党最高指導部でクアン氏もメンバーである政治局人事に新たな動きはなかった。腐敗追及で影響力を強める党トップのグエン・フー・チョン書記長が、指導部内をクアン氏の退任にまとめきれなかったとの見方が出ている。11日付日本経済新聞はクアン氏の「電撃失脚」の可能性を伝えたが、7中総の議題から政治局の人事は既に外されていたとされる。
また先週にはクアン国家主席による5月下旬の国賓としての訪日が日越間で調整中と報じられた。ベトナム首脳の訪日は3月下旬に既に漏れ伝わっていたことから考えると、7中総での退任の芽は最高指導部内で早くから摘まれていたともみれる。
とは言え、クアン氏の権力基盤は弱体化している。同氏に近いとされるダナンの実業家「ブー・ニョム」ことファン・バン・アイン・ブー氏が逮捕されたほか、国家主席の出身母体である公安省でも違法ギャンブルへの関与で逮捕者が相次いでいる。中総は半年に一度。秋の政局に向けた水面下の駆け引きが既に始まっている。まずは5月下旬の訪日で、クアン国家主席が健在な姿をアピールできるかが見どころになる。