公安を手中に収めようとするチョン書記長

グエン・フー・チョン書記長がベトナム最大の権力組織である公安を手中に収めようとしている。書記長の視線の先には、政敵であるグエン・タン・ズン前首相の追及や前公安相のチャン・ダイ・クアン国家主席の権力基盤の切り崩しがある。
チョン書記長は1月15日、国家公安会議での演説で「全てにおける党の直接的かつ絶対的な指導」を強調した。さらに「公安の組織再編」にまで言及した。
ベトナムでは公安が社会の隅々に目を光らせる。特に書記長が進める反汚職運動に公安権力の掌握は不可欠だ。チョン氏は2016年1月の書記長再任後、同年9月に中央公安委員会に入った。書記長の中央公安委入りは初めてだ。党最高指導部の政治局の一員だったディン・ラ・タン氏が昨年末に逮捕されたことは、チョン氏が公安への影響力を強めていることを示唆している。一部のウオッチャーは、組織再編の狙いは「ズン派残党の一掃」と指摘している。
ただ現時点で巨大な公安機関を全面的に掌握したわけではないようだ。タン氏逮捕の翌日、ベトナム国営通信はペトロベトナム元社長のフン・ディン・フック氏とドー・バン・ハウ氏が拘束されたと報じた1時間後に記事を取り消して謝罪した。合わせて公安も「逮捕は誤報」と打ち消した。さらに元諜報機関所属でダナンの有力実業家「ブー・ニョム」ことファン・バン・アイン・ブー氏もチョン氏が捜査を指示後に国外逃亡した。ブー氏は年明けにシンガポールからベトナムに送還されたが、公安内でチョン氏の指示が徹底されていないとみられている。
公安は2016年にはペトロベトナム建設のチン・スアン・タイン元会長も取り逃がしている。公安出身のブー氏の訴追は、公安相を務めたクアン国家主席への政治的な攻撃との観測が上がっている。