米国エリートにとってのベトナム戦争

「従軍したと嘘をついたベトナムで休暇を取ればよい。そうすればベトナムにいたとは言えるさ」。トランプ大統領が7日にツイッターでかみついた相手は、民主党のブルメンタール上院議員。2010年の選挙戦で「ベトナム戦争に従軍していた」としていたが、実際には戦時中は海兵隊予備役として米国内にいたことが明るみになり、謝罪に追い込まれたことがある。大統領は、その過去をほじくり返し、ブルメンタール議員を「偽物のベトナム詐欺師」呼ばわりした。
そういうトランプ大統領も、「在学中」や「かかとの軽傷」を理由にベトナム戦争への徴兵を計5回も免れた。クリントン元大統領やブッシュ元大統領(息子)もかつて徴兵逃れが取りざたされている。逆に2008年の大統領選挙でオバマ氏に挑んだマケイン上院議員は、海軍航空士官として従軍中にハノイ上空で撃墜され、5年以上にわたる過酷な捕虜生活を生き抜いたことで英雄となった。ケリー前国務長官は、メコンデルタなどでの激戦で勲章を受け、帰国後は反戦運動に転じた。
ベトナム戦争への従軍歴や反戦運動への参加の有無は、この世代のアメリカ人を政治的に分断させる境界線だ。トランプ大統領は、その分断を改めて掘り返し、自らのロシア疑惑から目をそらさせようとしているようだ。