軍利権に切り込むチョン書記長の「反汚職」

グエン・フー・チョン書記長の反汚職運動が、聖域であった軍にも及ぼうとしている。共産党の中央検査委員会は6月末、空軍のフオン・ミン・ホア上将とグエン・バン・タイン中将が国防省の土地管理で規定に違反していたと発表した。
中央検査委は同時に国営通信モビフォンによる有料テレビAVG買収に絡んだ現職および前職の通信大臣の処分提起や、国営大手銀行BIDV元会長の除名なども決めた。外資の関心は、グエン・タン・ズン前首相周辺の追及につながる可能性がある企業不祥事に集まっているが、大将に次ぐ地位にある上将と中将の不正を認定したことも見逃せない。
中央検査委によれば、2人は2010-2015年期、つまり反汚職運動が始まるチョン書記長の再任前に「重大な」違反を犯した。ホア上将は軍用地を経済的な目的のために不法に払い下げることを決裁し、タイン中将は軍の住宅事業から利益を上げることを条件が適合しない者たちに認めた。
違反の具体的な内容について中央検査委は公表していない。だが6月上旬に一部メディアはハノイ市タインスアン区の一等地にある軍用地で不当に飲食店が営業されている問題を取り上げ、中央検査委が調査を進めていると報じていた。今回の処分と関係している可能性がある。
さらにホーチミン市タンソンニャット国際空港内の軍用地をゴルフ場として利用している問題に関連しているとの指摘もある。2014年にオープンした同ゴルフ場は市中心部から30分以内という抜群のアクセスで日本人駐在員からも人気だが、タンソンニャット空港の処理能力は限界に来ており空港内・周辺の混雑は深刻化している。にもかかわらず157ヘクタールをゴルフ場にすることに計画段階から批判があった。運営企業には軍関連企業に加えて大手デベロッパー・ヒムラムも参画しており、同社は軍利権と深くかかわっているとの情報もある。
真相は今後、明らかになっていくだろう。ただ現段階で興味深いのは最近に入って軍利権に次々とメスが入っていることだ。国防省系ゼネコンのタイソンのディン・ゴック・へー元会長はPPPインフラ整備での不正疑惑で昨年末に逮捕されている。
国会は6月、軍の経済活動を縮小する法律を成立させた。国防省系の企業は88社から17社に再編される。
ベトナムにおいて軍や公安を抑えられるかは指導者にとって死活問題だ。昨年末以降、公安の元諜報員でダナンの実業家「ブー・ニョム」ことファン・バン・アイン・ブー氏が逮捕され、諜報機関の元トップなども違法ギャンブルへの関与で摘発された。聖域への攻勢は軍や公安内で当然反発もあるはずだ。