ダナン不動産王の逃亡と最高指導部の権力闘争

ダナンで不動産会社3社を経営していた実業家「ブー・ニョム」ことファン・バン・アイン・ブー氏(42)が逃亡先のシンガポールで拘束され、4日にベトナムに送還された。指名手配されていたブー・ニョムはドイツに亡命しようとしていたが、ベトナム政府がパスポートの無効措置を取ったため昨年12月28日、シンガポール当局によって拘束された。
直接の逮捕容疑は「国家機密の漏洩」。ロイターなどによればブー・ニョムは元諜報機関の一員で、昨年ベルリンでベトナム諜報機関が起こしたとされるチン・タイン・スアン元ペトロベトナム建設会長の拉致に関する機密情報を持ち出したとされる。
また地元メディアによれば、ブー・ニョムはダナン市元書記で2015年に死去したグエン・バー・タイン氏の在任中から土地使用権の払い下げをめぐり、不正を繰り返していた。2017年10月に不正で解任されたグエン・スアン・アイン前書記とも癒着があったと示唆されている。
ただこの話には裏があるようだ。ブー・ニョムはチャン・ダイ・クアン国家主席の出身母体である公安と結びついており、ブー・ニョムの摘発はすなわち、最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長による、ナンバー2のクアン国家主席の勢力をそぐ動きとの見方がある。さらに現公安大臣のトー・ラム氏と前大臣のクアン国家大臣の公安内部の綱引きもあるようだ。
海外への逃亡と裏にある政争。チン・タイン・スアンの拘束がディン・ラ・タン前政治局員の逮捕に結びついた構図と似ており、すでにブー・ニョムを「第2のチン・タイン・スアン」とする指摘も出ている。2017年は健康不安がささやかれたクアン国家主席の周辺に汚職が露見すれば、2021年の次期書記長レースは、ナンバー3のグエン・スアン・フック首相が一気に有力候補となる。